彼女の姉、あるいは彼女の妹が誘惑してくる。この型に該当する作品は633件あります。寝取られ作品の中では大きなかたまりのひとつで、しかも他の型とは成り立ちがかなり違います。
違いの中心は一点で、寝取る側が「関係を切れない相手」だということです。職場の上司でも、見知らぬ男でもない。彼女の家族なので、会わない選択ができません。この一点が、展開の作り方をほとんど決めてしまいます。
ここでは、身内が誘惑側に回ることで何が起きるのか、姉と妹で描かれ方がどう変わるのか、そして誰にこの型が向いていないのかを、構造の面から整理します。
寝取る側が「身内」になると何が変わるのか
寝取られ作品の多くは、まず「相手と接触する理由」を用意するところから始まります。職場、旅行先、施術室、隣の部屋。舞台を先に作らないと、二人が同じ空間にいる状態を成立させられないからです。
ところがこの型では、その手間が最初から要りません。彼女の実家に行けば姉がいる。同居していれば妹がいる。接触の理由を説明する必要がないので、作品は最初のページから誘惑の場面に入れます。設定の説明が要らないぶん、密度が高くなりやすい型だと言えます。
そしてもうひとつ大きいのが、逃げ場のなさです。相手が他人であれば、その場から離れる、連絡を絶つ、職場を変えるといった回避手段が一応は考えられます。身内にはそれがありません。回避すれば彼女との関係のほうが壊れるからです。
- 接触の理由を作品側で用意しなくていい
- 主人公の側に回避手段がない
- 拒否しても関係が終わらないので、誘惑を何度でも繰り返せる
- 日常の場面がそのまま舞台になる
特に3つ目が効いています。他人が相手なら、一度断られた時点で話が止まります。身内なら、断られた翌日にまた同じ食卓に着く。拒否が終わりにならないという条件が、この型の展開を長く引き伸ばしています。
隠しごとが二重になる構造
寝取られ作品の多くは「パートナーに知られてはいけない」という一本の緊張で動きます。この型では、そこに家族という第二の目が加わります。
食卓、リビング、法事、帰省。誰かが同じ部屋にいる状態で誘惑が進む描写が多いのは、この二重構造を使うためです。パンチラやボディタッチといった描写が定番になっているのも同じ理由で、「他の人がいるから声を出せない」「席を立てない」という状況が、拒否を封じる装置として働くからです。
同じ構造は、パートナーのすぐ隣で進行する型(シチュエーション分類)とも重なります。違うのは、あちらが一度きりの場面であることが多いのに対し、こちらは生活の中で反復されることです。
誘惑する側が主導するため、加害と被害の線がぼやける
この型で最も性格が出るのがここです。強引に始まる型では、加害側と被害側がはっきり分かれています。夜這いから始まる調教型が分かりやすい例で、拒否から受容へ変わっていく過程そのものが読みどころになります。
一方この型は、寝取る側の女性が主導します。主人公は誘惑される立場ですが、完全な被害者としては描かれません。断ろうと思えば断れる場面が用意されていて、それでも受け入れてしまう。「拒めたはずなのに拒まなかった」という後ろめたさが、この型の中心的な感情になります。
そのため、責める相手が定まりません。誘惑した側を責めきれず、受け入れた自分も責めきれない。この宙ぶらりんの状態が読者の関心を引くという説明のされ方をよく見かけます。心理面の整理は寝取られの心理解説のほうでも触れています。
逆に言えば、はっきりした加害者が出てきて、はっきりした被害が描かれることを期待して選ぶと、拍子抜けする型でもあります。
姉が相手の場合と、妹が相手の場合の違い
同じ身内でも、姉と妹では力関係の描かれ方が変わります。作品を選ぶときにいちばん効く違いなので、分けて書いておきます。
- 姉が相手:主導権が完全に相手側にあります。経験の差、生活の慣れ、家庭内での立場。すべてが姉の側に置かれるため、主人公は流されるだけの立場になりがちです。誘惑が計画的に描かれ、逃げ道を先回りして塞がれる展開が多くなります
- 妹が相手:力関係が単純ではありません。立場としては主人公が上、しかし誘惑を仕掛けるのは妹の側。主導権が場面ごとに入れ替わる描き方が増えます。無邪気さを装った接近と、意図が透けて見える瞬間の落差が使われることが多いようです
読み味で言えば、姉は「抗えない」、妹は「見透かされる」という方向に寄ります。同じ633件の中にあっても、この二つは別物として選んだほうが期待と合いやすくなります。ヒロイン属性としての位置づけはヒロイン分類のほうにまとめています。
決定的な場面が来ないまま進む作りが多い
この型のもうひとつの特徴が、決着のつかなさです。
他の型であれば、どこかに転換点が置かれます。一線を越える場面、パートナーに知られる場面、関係が終わる場面。ところがこの型は、日常の中で進むため、はっきりした区切りが来ないまま話が続きます。少しずつ距離が縮まり、少しずつ引き返せなくなる。境目がないまま気づいたら戻れない、という進み方が好まれています。
この作りには向き不向きがあります。結末を求めて読む人には、いつまでも決まらない話に感じられます。逆に、関係が変質していく過程そのものを読みたい人には、この宙づりの状態が長く続くこと自体が価値になります。
結末の付け方の分類についてはオチの分類のほうを見ると、どのパターンが自分に合うか見当がつきやすくなります。
誘惑の段階と、どこまで描かれるか
この型の作品は、おおよそ次の順で進みます。どこまで進むかは作品によって差があり、紹介文からある程度は見当がつきます。
- 見せる段階:視線に入る位置に来る、露出のある服装、偶然を装った接触
- 触れる段階:人目のある場所での接触。断れない状況を利用する
- 試す段階:拒否するかどうかを確かめる。ここで拒まなかったことが後の口実になる
- 関係が固定される段階:日常の一部として繰り返されるようになる
紹介文が最初の二段階の語ばかりで構成されている作品は、そこで終わることが多いようです。逆に「関係」「日常」「繰り返し」といった語が出てくる作品は、後半まで進むと考えて構いません。紹介文に並ぶ語は、どこまで描くかの宣言に近いと見ておくと選びやすくなります。
媒体ごとの描かれ方の違い
同じ型でも、媒体によって重心が変わります。
- AV:接触の段階から先に重心が置かれます。設定説明が短く、日常の積み重ねは省略されやすい傾向があります
- 成年コミック:単行本であれば四つの段階を通して描けます。単話は見せる・触れるの段階に集中しがちです
- 同人:シリーズものが多く、巻をまたいで関係が変化していく作りに向いています。日常の反復を追いたい場合はここが最も合います
「じわじわ進む話を読みたかったのに、いきなり本題に入って終わってしまった」という食い違いは、たいていこの媒体差から起きています。
この型が合わない人
正直に書いておくと、この型が向かない読者もはっきりいます。
ひとつは、主人公の側に落ち度があること自体が受け入れられない人です。この型は誘惑を拒みきれなかった側の後ろめたさを描くので、完全な被害としては描かれません。理不尽に奪われる話を求めているなら、強制から始まる型のほうが合います。
もうひとつは、はっきりした決着を求める人です。前述のとおり、この型は日常の中で進み、決定的な場面が来ないまま終わる作品が少なくありません。破局や発覚といった着地を期待していると、消化不良に感じられます。
三つめは、家族という関係を持ち込むこと自体に抵抗がある人です。これは好みの問題なので、無理に慣れる必要はありません。他人が相手の型は数が多いので、そちらから選んだほうが早いです。
寝取られ作品を型ごとに分けているのは、こうした食い違いを減らすためです。寝取られとは何かの基本解説のほうから、自分に合う入口を探し直すこともできます。
作品の選び方
最後に、この型から選ぶときの目安をまとめます。
- 姉か妹かを先に決める。読み味が別物なので、ここを曖昧にすると外れやすくなります
- 紹介文の語で到達点を測る。接触までの語しかなければ、そこで終わる可能性が高いと考えます
- 過程を追いたいならページ数・巻数のあるものを選ぶ。日常の反復を描くには分量が要ります
- 決着を求めるなら、結末に触れた紹介文があるものを選ぶ
該当する633件は中身の幅が広く、同じタグで括られていても期待するものが違えば満足度は変わります。購入前に販売ページの説明を読んで、上の四点だけでも確認しておくと外れにくくなります。