元カレとの再会をきっかけに関係が戻ってしまう。この入り方に該当する作品は、当サイトの集計で741件あります。数としては中堅ですが、他の型と決定的に違う点がひとつあります。物語が始まる時点で、二人の関係がすでに完成しているということです。
寝取られ作品の多くは、他人だった二人が近づいていく過程を描きます。この型はそこを省略できます。省略できたぶんの時間を何に使うかで、作品の性格が分かれていきます。
ここでは、再会という装置がどう機能するのか、時期設定がなぜ「結婚間近」に寄るのか、そして似た型とどこで見分けるのかを整理します。
「すでにあった関係」から始まるということ
この型の中心にあるのは、説得の過程が要らないという一点です。
他人同士が関係を持つには、通常なんらかの理由が必要になります。強引に始めるか、立場の差を使うか、時間をかけて距離を詰めるか。どれを選んでも、作品はそこに一定の分量を割くことになります。
再会の型には、その工程がありません。かつて恋人だったという事実が、そのまま接近の理由として成立するからです。抵抗する側にとっても、相手はまったくの他人ではありません。拒む理由が「今の相手がいるから」だけになり、相手の人格そのものへの拒否は最初から存在しない状態で話が進みます。
- 相手が何者かを説明する工程
- 警戒が解けるまでの時間
- 身体的な距離が縮まるまでの段取り
- 「なぜこの人なのか」という動機の説明
これらが最初から済んでいるため、作品は開始から数ページ、あるいは数分で本題に入れます。短い尺の媒体でこの型が選ばれやすいのは、この効率のよさが理由だと考えられます。
初対面から始まる型と、時間の使い方が違う
強引に始まる型(夜這い・調教系)と並べると、違いがはっきりします。
あちらは「拒否から受容へ」という縦の変化を描きます。始まりが完全な拒否なので、変わっていく幅がそのまま見どころになる構造です。段階を踏むぶん、尺も必要になります。
再会の型はそうではありません。受容の下地は最初からあります。代わりに描かれるのは、現在と過去のどちらを選ぶかという横の揺れです。相手に堕ちていく話というより、今ある関係から離れていく話に近くなります。
そのため、この型では相手側の描写が薄くなることがあります。過去に関係があった以上、相手の魅力を改めて説明する必要が薄いからです。相手のキャラクターを丁寧に読みたい人には、やや物足りなく感じられる場合があります。
「結婚間近」という時期設定が持つ意味
この型の作品には、結婚を控えた時期に置かれるものがかなり多く見られます。婚約中、式の準備中、あるいは入籍を数か月後に控えている。そういう設定が繰り返し使われます。
理由は、その時期が引き返せる最後の地点だからだと説明されることが多いようです。すでに結婚している場合、関係を持つことは離婚か隠蔽かの二択になります。まだ何も決まっていない場合、そもそも失うものが小さい。婚約という状態は、失うものが最大で、かつ形式上はまだ引き返せる。この二つが同時に成り立つ短い期間です。
この時期設定は、物語に自動的に締切を与えます。式の日程が決まっていれば、それが期限になります。読み手はその日付を意識しながら読むことになり、作品側は特別な仕掛けをしなくても緊張を維持できます。
同窓会・終電・相部屋という装置
再会を成立させるには、二人が同じ場所に居合わせる口実が要ります。よく使われるものは限られています。
- 同窓会:成人後の再会として最も使われる舞台です。会うことに不自然さがなく、飲酒の口実も同時に手に入ります
- 終電:帰れないという状況を作るための定番です。二次会の後、宿を取るまでが一続きの流れとして処理されます
- 相部屋:宿泊まで進んだ場合の受け皿です。部屋が足りない、あるいは意図的に用意されるかで作品の性格が変わります
- 転勤・帰省:偶然の再会を作る手段です。同窓会より緩やかに始まるぶん、複数回の接触を描きやすくなります
- 職場での再会:日常が続くため、一度きりで終わらせない構成に向いています
装置の選び方は、そのまま作品の長さと連動します。同窓会と終電の組み合わせは一晩で完結させやすく、短い作品に向いています。職場や帰省を使う作品は、関係が続いていく構成を前提にしていることが多いようです。
紹介文でどの装置が使われているかを見れば、一度きりの話なのか、続いていく話なのかはおおよそ判断できます。
過去は美化されるのか、否定されるのか
この型を選ぶうえで、いちばん影響が大きいのがここです。作品は大きく二つに分かれます。
ひとつは、過去のほうが良かったと描くタイプです。当時の関係が満たされていて、別れたことに未練が残っている。現在の相手は安定しているが物足りない、という形で対比されます。この場合、再会は「戻る」行為として描かれ、罪悪感は比較的軽く扱われます。
もうひとつは、過去を否定的に置くタイプです。別れには理由があり、相手にも問題があった。それでも引き戻されてしまう、という構図になります。この場合、再会は「間違いだと分かっていて選ぶ」行為になり、罪悪感が物語の中心に来ます。
- 紹介文に「忘れられない」「未練」がある → 過去を肯定する側
- 「後悔」「間違い」「分かっていたのに」がある → 過去を否定する側
- 現在の相手の描写が丁寧 → 揺れそのものを描く構成
- 現在の相手がほとんど出てこない → 過去側に寄せた構成
同じ「元カレNTR」というくくりでも、この二つは読後感がかなり違います。片方を求めて片方を買うと、期待が外れやすい部分です。
結婚式前の型との違い
時期設定が近いため、結婚式前を扱う型(シチュエーション分類)と混同されやすい部分があります。見分け方は単純で、相手が新しい人か、昔の人かです。
結婚式前の型は、式の準備期間中に新しく現れた相手との関係を描きます。相手は同僚、業者、親族など、その時期だからこそ接点ができた人物です。ここには接近の過程が必要になります。
再会の型では、相手は過去から戻ってきます。接近の過程は要らない代わりに、「なぜ今また会うのか」という理由づけが必要になります。同窓会や偶然の再会という装置は、そのために置かれています。
読み手として求めるものも変わります。前者は関係が作られていく過程を、後者は関係が戻っていく過程を見ることになります。落ち方の分類(結末の型)と組み合わせて見ると、どちらが自分に合うかは判断しやすくなります。
自発系との距離の近さ
この型は、強制から始まる型よりも、ヒロイン側の意思が関わる型に近い位置にあります。
再会の場面で、行くか行かないかの選択は本人に残されていることが多いためです。二次会に残る、連絡先を交換する、部屋まで送ってもらう。どの段階でも止められたはずだ、という構造が作品側にも意識されています。この「止められたのに止めなかった」という部分が、この型の後味を決めています。
そのぶん、加害と被害の線ははっきりしません。完全に一方的な展開を求めている場合、この型は物足りなく感じられる可能性があります。逆に、本人の選択が含まれることそのものに惹かれる読者にとっては、この型は選びやすい入り口になります。
ヒロイン側の描き方については、ヒロイン分類のほうも合わせて見ると位置関係がつかみやすくなります。
この型が合わない人
正直に書いておくと、この型が向いていない読者もいます。
ひとつは、ヒロイン側に選択の余地があること自体を受け入れられない人です。この型では、多くの場合ヒロインが自分で一歩を進めます。それを裏切りとして重く受け取る人にとっては、読んでいて負担が大きくなります。
もうひとつは、関係の変化そのものを追いたい人です。すでにあった関係が前提になるため、拒否から受容へという段階的な変化はほとんど描かれません。変化の幅を求めるなら、強制から始まる型のほうが向いています。
三つめは、相手側のキャラクターを読みたい人です。前述のとおり、この型では相手の描写が薄くなりがちです。相手の執着や技術を丁寧に描く作品を求めているなら、別の分類のほうが該当作は多くなります。
分類を細かく分けているのは、こうした食い違いを減らすためです。合わないと感じたら、基本の考え方に戻って別の型を探してみてください。
作品の選び方
この型の作品を選ぶとき、確認しておくと外しにくい点をまとめます。
- 一晩で終わるか、続くか。同窓会と終電だけで構成されているなら一度きり、職場や帰省が絡むなら継続型の可能性が高くなります
- 現在の相手が描かれているか。描写があるほど揺れが中心になり、無いほど過去側に寄ります
- 時期が明示されているか。期限が具体的なほど、その日付が見せ場として使われます
- 結末の方向。戻るのか、そのまま進むのか。紹介文の最後の一文に出ていることが多いです
該当する741件の中身は一様ではありません。同じ入り方をしていても、過去をどう扱うかで読後感は大きく変わります。作品一覧から絞り込む際は、入り方だけでなく、上の四点を合わせて見ることをおすすめします。
なお、この型と近い位置にある考え方については、心理面の解説のほうでも触れています。